OUR STORY

日本は数学における男女格差が著しい国の一つです。こちら2012年の調査報告によれば、日本はチリ・オーストリア・イタリアに次いで、また同じ儒教国の韓国と並んで19ポイント。この男女格差はトップ10%の成績優秀者になるとさらに上がり、29ポイントにもなっています。

数学スコアにおける男女格差(OECD、2012年)

数学スコアにおける男女格差(OECD、2012年)

 

ジェンダー格差を引きおこしている原因

P I S Aのレポートは、学業成績の男女格差は I Qなど生まれつきの能力差によるものではなく、「自信」「セルフ・エフィカシー」「モチベーション」といった「非認知能力」が関係している可能性を指摘しています。

まず、「数学に対する不安の強い割合」が、女子の方が高い。この自信の欠如がセルフエフィカシー、つまり「自分には数学や科学などの問題を解く能力がある」という自己効力感に影響すると考えられており、実際にS T E M領域のセルフエフィカシーが男子と比べて女子が低いことがわかっています。問題の文言や課題の設定が、受験生に「数学者のようにとく」とか「科学者のように考える」というシチュエーションを想定させる場合、女子のパフォーマンスが俄然悪くなってしまうのです。

生徒は自信があるほど、失敗を気にせずにとりあえず試してみる傾向にあることが研究者の調査でわかっていますが、この試行錯誤こそ、数学や科学の知識を獲得する上で必要不可欠なプロセスでだと考えられています。興味深いことに「数学に対する自信」と「数学に対する不安」が同じレベルの男子と女子を比較すると、成績の男女差はなくなることがわかっています。つまり、男女のS T E M格差は一般能力(IQ)ではなく、ここで挙げたような「非認知能力」に関係しているという仮説が考えられるわけです。

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こちらのGEM指標は直近の2018-19年のもので、 18歳から64歳までの「起業割合」をジェンダー別に示しています。東南アジアでは日本が一番低く、さらに男女格差も見られます。とはいえ、これらのデータは、日本でイノベーションを起こすために、これから私たちにできることがまだまだあるという伸びしろや可能性を示しています。

 

2016年スカイラボを成立

スタンフォード大学で博士号を取得し、シリコンバレーで子育てをしていた日本出身の女性たちが、教育や人文・社会科学といった自分たちの専門性を使って、S TE M領域の男女格差を是正するために何かできないだろうかと、スカイラボを設立しました。

スカイラボは、Science 科学・Technology テクノロジー・Engineering エンジニアリング・Mathematics 数学(通称STEM ステム領域)に、Liberal Arts リベラルアーツを加えたSTEAM教育で、次世代のイノベーション人材を育成する非営利団体です。技術開発を支えるものづくりの視点や、コラボレーションが新たな発想につながる方法論を、学び体験してもらう場を提供します。次世代を支える子どもたちが、自分たちが住みたい世界を創造し、探索しながら作り上げていくための、大空のような無限の実験室。それがSKYLABOの目指すコンセプトです。

スカイラボでは参加者の学習の様子をデータとして収集・分析し、エビデンスベースの教育活動を行っています(ブログ論文にスカイラボ教育活動の結果が掲載されています)。 同プログラムは2019年に内閣府男女共同参画局後援の認定を受けました。

次世代のイノベーター、アントレプレナーの育成を目指してスカイラボが開発・実施する女子中高生向けの教育プログラムについては、内閣府経済財政諮問会議「選択する未来2.0」の発表資料にも掲載しています。